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31:志半ば |
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僕が。僕だけが。 このゲームを生き抜いて、彼女のところに戻るんだ。
死んだ人数はもうどのくらいになったのだろう。 (お腹は空かない。もらった食料も役に立たないな。) そうなのだ。 (泣き虫なところがあるからなぁ。大丈夫かな…。)
おかあさん。
杉原の唇は確かにそう、動いた。
出立前、杉原は玄関口で母親に呼び止められた、 「大丈夫だよ、お母さん。合宿に行くだけなんだから。」 「でも、怪我とか心配だわ。」 「早々僕が怪我をすると思う?」 「…でもね、心配は心配なの。頭に受けてお勉強できなくなったらどうするの。」 「あ、そう僕より。勉強が心配なんだね。」 「そういうわけじゃないのよ。もう、分かっているのに意地悪ね。」 ぽんぽんと頭を撫でて、杉原の母親はすっと離れた。
「気をつけてね……多紀。」
(泣いてないかな。僕が心配で、はらはらしてないかな?) おろおろする彼女を見るのはちょっと楽しい。 (誰か……いる?)
「藤村、そんなせかせかせんと、のんびり行こうや。」 「いや、俺はあの真田とか言うやつをやらへんと気がすまへん。ついてこれないなら置いていくで、ノリック。」
がさがさと音が鳴るのもかまわず、藤村は進む。 その二人を杉原が見つけた。 ボウガンを構える。 天状から奪った、殺傷力のある武器。 いまさら、躊躇いなどなかった。
「っノリック!!」
ぐさぐさぐさぐさぐさぐさ。 背中に矢がこれでもかという本数刺さる。
「ふ…藤村…!?」 どさり。 自分の上に凭れ掛かってきた友人の体を抱いて、吉田は呻いた。 「ノリ…ック…無事か…?」 「あほ、人の心配の前に自分の心配しぃや…!」 「そ、やな…」 「藤村…?」 「……」 「ふじむらぁ…?」 ぽつり。 もう動かない友人の為の涙が落ちた。
杉原の方は狙いを外して些か動揺していた。 はじめに立ち直ったのは。
「…死んで、詫びや。」
がぁん、がん、がぁ…ん!!
吉田だった。 「これで藤村も報われるとええねんけどな。俺のせいで死んでもうた…。」 彼の放った弾丸は寸分違わず杉原を捕らえ、杉原は真赤な血をぶちまけてその場に倒れるしかなかった。 吉田は持ち直す。杉原を屠った武器を。
「生前あれだけ執着していた『真田』、俺がきちんと始末つけてやるさかいにな。」
《残り ― 9人》
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