0:出題

 
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「今日は皆さんに書いてもらう物があります。」

ある春のうららかな日。
突然収集された東京選抜メンバーに、彼らの監督である西園寺玲は一枚の紙を差し出した。

紙には次のように書いてある。

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アンケート

責任者:東京選抜監督 西園寺玲

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・東京選抜以外で印象に残った選手を上げなさい。

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1.所属() 氏名()
2.所属() 氏名()
3.所属() 氏名()
4.所属() 氏名()
5.所属() 氏名(

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※必ずその場で提出すること。

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以上


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「何スか?これ。」

ちょうど西園寺の目の前に座っていた藤代誠二が、ピラピラと白い紙を裏に表に弄びながら西園寺に問う。
何処か子供っぽい彼の仕草に、西園寺は瞳を細めニコリと笑った。

「大した意味はないわ。ちょっとしたアンケートよ。皆が今回のトレセン合宿でどういう選手が印象に残ったのか……それが知りたいだけ。」

「だったら召集しなくても、家で書かせりゃ良かったんじゃないッスか?」

「大した物ではないけれど、私にとっては大事な物なの。だから必ず出して貰いたいのよ。……お休みの所悪いとは思ったんだけど、こうやって召集しちゃうのが一番早いと思ったから。」

いつもの練習時とは違い、大人らしいスーツに身を包んだ彼女は、少年の疑問にさらりと答えていく。
まるで何でもない、と言わんばかりに。
控えめに付けたルージュが優しく歪んだ。

それで納得したのか、それとも興味を失ったのか―――藤代は大袈裟に頷いてから早速と鞄からペンを取りだしてアンケートに答え始める。

他のメンバーもそれにつられてガタガタと鞄を漁り始めた。

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周りが適当に終わらせようと軽快にペンを走らせる中、風祭将はアンケートを睨んで悩んでいた。

(どうしよう…これって五人しか書けないって事だよね…。)

アンケート用紙には五人だけ、と言う記述はない。
だが、所属、氏名を書く欄は五つだけ。
暗に五人にしぼれと言っているような物だ。
あれだけの人数の中から五人を選べ、と言うのも酷な話だ、と風祭は思う。
本当にトレセン合宿はレベルが高くて、驚きの連続だった。
自分が場違いに思えて、でも、繰り出されるプレイの数々に魅了されて。
今でも鮮やかに焼き付いている。
その中から五人。多くて五人。

悩みに悩んだ末、風祭は意を決したようにペンを握りしめた。

 

 

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