始まりはいつも

 
 

 

久しぶりの休み。

練習がない日でさえもサッカーに明け暮れている3人が、
今日は珍しくサッカーをしていない。
その理由は、一週間後に迫る定期テストにあった。
お互い違う学校に通っているが、どこでも試験期間は似たようなもので、
一馬と英士は試験勉強のため、結人の家を訪れていた。
しかし「試験勉強」なんて名ばかりで、事実、勉学に励んでいるのは
英士だけだった。

  

「何のためにここに来たんだよ・・・ったく・・ちょっとは勉強・・」


英士が騒がしい2人に注意すると、一馬からの反論があった。
それもその筈。勉強しようとしている一馬に結人がいろいろと構ってくるのだ。


「んなこと言ったって、結人が!!」

「こら、結人!言い出しっぺのお前が何やってんだよ・・・まったく」

「だって〜・・・」

「だってじゃない!一馬も困ってるだろ?さっさと勉強する!!
 テスト、どうなっても知らないぞ」 

  

一馬にちょっかいを出すのをやめ、結人はしぶしぶテーブルに向かい、
ようやく教科書とノートを開いた。
「これでやっと静かになった」と英士は安堵の息を漏らすが
それもつかの間の出来事で、英士や一馬が想像する以上に結人の
勉強に対する集中力は短かったのだった。


「なぁ〜・・・」

「「勉強しろ!!!」」

英士と一馬の声が見事にハモり、その声に一瞬ビクっとする結人だったが、
それくらいでは何ともないのか、勉強しようとする2人にはお構いなしに話しを続けた。


「一馬も英士も、好きな奴っていんの?」


((ドキッ!!?))

聞かれた2人は内心かなり驚いていた。が、あえて表に出さないように平常心を保とうと努めた。
少しばかり動揺を見せた2人を結人は決して見逃さなかったが、見なかったことにしてさらに質問する。

「なぁ?」

結人はテーブルに重い頭を乗せ、上目遣いに2人の方を見やる。
しかし、聞かれた本人たちはその視線に気付かないフリをして教科書と睨めっこをしていた。

しばし沈黙が流れる。

いっこうに勉強しようとしない結人に呆れた一馬が一言言ってやろうとしたその時、英士の口が開いた。

「風祭」

「・・・は? 英士。何、急に・・?」

「マジ??!」

急に風祭の名を言い出した英士と、それに激しく口論する結人の行動が一馬には不可解だった。なぜいきなり"風祭"の名前が出てきただけでこんなことになっているのか、不思議でしかたがない。
一馬がしばらく頭を悩ませていると、結人のさっき聞き流した質問が浮かび上がってきた。

  

もしかして・・・

  

「もしかして、英士も結人も風祭のことが・・・・?」

  

恐る恐る尋ねてみる。それに返ってきた返答はやはりこうだった。

「「そうだよ!!」」

切れ気味の声が重なる。
しかし、一馬にはその返答にびっくりしている余裕何てものはなかった。
なぜなら・・・

「・・・実は、俺も・・・・」

  

  

またもや沈黙。

  

  

今回のは先ほどよりも少しばかり長いような気がした。それは気のせいなのかどうなのか、確かではない。
その沈黙を破ったのは、3人同時。ぷっと吹き出し、互いに笑い合う。 

  

「何で、こうも3人揃って同じ人なんだよ」

「ホント。でも、今回は絶対誰にも譲らないからな!
 ただでさえ競争率高いのに」

「それはこっちの台詞だぜ。ったく・・・」

  

などと、勉強は一体どこへやら、口々に愚痴をこぼしている。
にも関わらず3人はちっともくやしそうではなかった。
寧ろ、さらにやる気が沸いてきているようにも見えた。

  

「誰が風祭と一緒になれるか・・・」

「「「勝負!!!」」」

  

  

こうして、郭英士、真田一馬、若菜結人の『風祭将争奪戦』の火蓋は
切って落とされたのであった。
まだ他に数十人ものライバルがいるのも忘れて・・・

  

  

・END・

お礼コメンツ

 

市村直さまのサイトで配られていたU-14×将小説vv
私的に郭くんが男らしいのが素敵かと!
後、全然勉強する気のない結人と、そんな結人に絡まれて勉強できない一馬。
つかそれって全部って言いませんか(笑)
雰囲気が可愛くて大好きですv
市村さま、掲載許可ありがとうございましたv