一番上。  
 

珍しく若林から電話が来た。本当に彼からかかってくるのは珍しい。戸惑いながらも嬉しいものは嬉しい。

「シュナイダー。お前、新年明けたばかりだし忙しいよな?会えないよな?」

つながった途端早口に問いかけてくる。

これは<会いたい!>ってことだろう。あの若林が!快感に意識が蕩けてるときならまだしも普段は恋人としての会話はなかなか言ってくれないのに。付き合い始めてから3年、彼のほうから求められるときが来るなんて。

幸せに打ち震えていた。

「やっぱり忙しいよな?なら良いんだ。じゃあ…。」

彼は照れているのだろう。普段よりずっと早口で一気に喋り一方的に電話を切ろうとしていた。

「いや、平気だ。オレもお前に会いたい。」

「な…!そんなこと…。でも…、うん…。あのな、こっち来てくれない?今すぐ。」

ずいぶんと可愛らしいことを言ってくれる。

「すぐ行く。待っていてくれ!」

「…うん。……あ、あのなできるだけ早く来てな?」

ぎしっと力を入れすぎて携帯が軋んだ。

 

若林の家に着いたらチャイムを鳴らす前にドアが開き若林が抱きついてきた。

「本当に来てくれたんだ〜。ごめん、ごめん!!あのな、オレ、オレ。」

ウルウルと瞳を潤ませしがみつく彼は新年も変わらず可愛い。その可愛さの前に玄関だとかまだドアを閉めていないとか色々な思いは吹き飛んだ。彼の腰を片手で抱きもう片方で彼の頬を撫でる。

そのまま見つめ合い顔を近づけていく。

「源三。」

オレでももちろん若林でもない静かな男の声。

カチン。若林が凍りついた。そして恐る恐る男を振り返る。

男は笑顔ででも目は笑っていないでオレを見ている。

見ているより睨んでるに近い視線で値踏みをされている。気分のいいものではない。

「二人ともドアを閉めてこっちにおいで。」

綺麗な英語で促されギクシャクと若林が動いた。

「コーヒーで良いかな?」

相変わらず睨んでる男だが一応もてなしてくれるらしい。

「源三はカフェオレにしようね〜?」

甘ったるい声(ただし日本語らしいので内容は分からない)で問われても若林はぎこちなく返事をした。

男がキッチンに入った瞬間。

「オレの上の兄さん。」

小声で告げてきた。

聞いていた彼の兄のイメージとはずいぶん違う。歳が離れている為弟に甘くまさに<ブラコン><兄馬鹿>のイメージだったのだが…?

「お前との事、話しちゃったんだよ…。そしたらお前に会わせろって。すぐに呼び出せって。すごく怖くて断れなくって本当にごめん。迷惑だろ?」

「構わないが…、よく話したな?」

「…酔っ払ってたから…。」

「事情説明は済んだかな?」

トレイ片手に先ほどと変わらない笑顔で男は戻ってきた。

「源三と別れる気はない?」

笑顔で軽く聞いてくる。

「無い。」

「そうか、なら良いや。」

「シュナイダー君、今夜は飲もう!」

「はあ。」

ずいぶんあっさりと話は終わってしまった。事情が飲み込めず若林はまだ呆然としている。

 

その夜。差し向かいで飲み明かした。ちなみに若林は今までの緊張が解けて酔いが回りやすかった為か最初の30分でいつもの誉め癖も出ることなく酔いつぶれた。

「大事で大切な弟だ。源三が望んだら駄目って言えないんだよ、オレ。」

「だけど、ずっと可愛がってきたんだあっさりと認められないし。」

「万が一源三泣かせてみろ、殺すぞ。」

「そりゃ君はさ、恋人っていう位置かもしれないけどオレも家族で当たり前で特別な位置にいるし我慢するよ。」

「源三が別れたいと言ったらすぐ別れろ。未練たらしくすんな。」

イメージどおりの発言をする彼は第一印象より好感が持てた。時折、笑顔で要らない心配(オレと若林が別れる等)をしながら脅しを掛けるのはかなり笑えた。

 

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「お前、お兄ちゃんに弱いな。」

「う。だって兄さん、静かに怒るから怖いんだよ。それに…。」

「それに?」

「兄さんの事好きだし。」

「だし?」

「…反対されたら嫌だなとか…。」

「とか?」

「…お前に怪我させるようなことするとか…。」

「とか?」

「だから…。」

「だから?」

「ああ、もう!オレは兄さんが好きで!お前も好きだから二人に仲良くして欲しいんだよ!文句あるか!?」

「無い。でも要らない心配だぞ。昨夜お前が寝た後飲み明かしたんだからな。」

「そうか。」

「ああ、でも一発殴られた。たいした事は無いがな。」

「どうして?仲良くなったんじゃないのか。」

「日本の親父はこうして娘を嫁がせるものだと言われた。」

「誰が嫁だ。誰が親父だ。」

「お前のお兄ちゃんが言ったんだ。」

「にいさ〜ん。(泣)」

「家族の了承も得たしもっと仲良くしようぜ。」

「どこ触って…。」

「オレと仲良くしたくない?」

「…したい…。」

「いい子だ。」

「…っん。ここじゃ・駄目。」

「気にしなくて良い。」

「気に…なぁ…る。」

「立てないのにベッド行けるのか?」

「…あ・。行く。」

「もう?」

「そ・じゃな・・くって。ん・ん。」

「源三、お願いは?」

「…はぁ、カールぅ、ベッドで…し・て…。」

「よく出来ました。いい子にはご褒美。」

「……。」

「ベッドは?」

「…も・・良いから。はや…く。」

「仰せのままに。」

 

お礼コメンツ☆  

いのぽんさんから頂きました、わーい!
やっぱり若林家の末っ子は愛されてなきゃですよね〜vv
一番上のお兄ちゃんはそれでも独占したいわけじゃなくて、若林くんが一番幸せになれる方法を模索していると見ました。
男前だ…!
可愛い可愛い弟が妙なドイツ人に騙されているんじゃないかと、心配でしょうがないでしょう(笑)
それでも一応認めてもらえてみたいで、良かったね〜シュナ!

いのぽんさん、可愛いお話ありがとうございましたvv