ストレス解消法

 
 

食堂で一部の選手がくつろいでいたとき突然賀茂監督、見上氏、片桐氏が現れ緊張が走った。

「みんな気にするな。メシを食うだけだ。」

豪快に笑いながら賀茂監督は言うがサッカー協会の人間までにいるのだ気にしないわけがない。皆、何かあったんじゃないかとチラリと横目で窺う。

「本当になんでもないんだ。片桐さんは近くに用事があって寄っただけだ。」

「驚かしてしまってすまないな。」

選手達の緊張が可笑しかったのだろう、見上氏も片桐氏もトレイ片手に笑いながら言う。

そんな緊張を吹き飛ばそうと葵が脈絡なく質問する。

 

「若林さんって1人っ子ですか?」

 

聞かれた若林より早く声が返ってくる。

「違うんだな。若林さんはお兄さんが2人いて三男末っ子なんだな。」

「おお〜!さすが保。データばっちしだな。」

「そんなデータまで持ってんのか?」

感心なのか呆れなのかどっちつかずの声で石崎が混じってくる。

「もちろんです。そのお兄さん2人とは一回りも歳が離れるのも知ってるんだな。」

得意気に井出が話す。

(ふん!オレのほうが若林さんとの付き合いが長いんだぞ。もっと色んな事知ってるぞ。)1部の若林親衛隊が不満を心の中だけで言う。下手に話してストーカー扱いは御免だ。

 

「歳離れた兄ちゃんだもんな。若林がわがままなのも分かるよな〜。」

 

「「「「若林さんは我侭じゃない!!((((そういうとこも可愛いんだ!!!!!))))」」」」

 

「見事な揃いっぷりだな。良いチームワークだ。」

「片桐。ちょっと違わないか?おい、見上どうした?」

 

選手達の会話を楽しく聞きながら食事をしていた3人だったが、いきなり見上が立ち上がり葵たちに近づく。

「言うほど源三は我侭じゃないぞ。あの家族で良くぞここまでしっかりした子に育ってくれたと私は思っているが…。」

苦みばしった大人の表情で堂々と見上は言ってのけた。

「…は…?」

(何言ってやがる、このおっさん!)

「見上さん?」

話題の若林もびっくりして見上を見つめる。

「源三の兄2人は赤ん坊だった源三が始めて言った言葉が<にいに>がどっちに言ったのかで兄弟喧嘩するくらい源三を可愛がってるようなお兄さんなんだ。片方は自分の指を握ったまま<にいに>と言ったから自分に言っ

たんだと主張しているし片方は自分の方を見て言ったから自分にだと譲らないし、なあ源三?」

「確かにそうですけど、今言わなくても…。」

「ブラコンだな。」

「ああ、まちがいなくな。」

「新たなデータなんだな。」

「父親だってその件に関してはいまだに抱っこしていたのは自分なのにと口惜しがってるし母親も普通は<まあま>と言ってくれるものじゃないのと涙するし、なあ源三?」

「こないだ家族そろったときもそうでしたが…。」

「家族そろって激甘だな。」

「まったくだ。」

「行ってらっしゃいやお帰りやお休みやのキスもするだろう、源三」

「ええ…。」

「普通しないよな。」

「尊に…したくないな。」

「家族にキスくらいは普通だぞ。ほっぺだし。」

「その普通ってのも兄貴達に言われたんだろ?」

「よく知ってるな。」

「はあ〜。天然だな。」

「それにお風呂も一緒に入ったりするだろう、源三」

「頭洗うの上手いって言ってくれますから…。」

「これで分かっただろう。源三は素直で可愛い良い子なんだ。」

なでなでとちっちゃな子供にするように若林の頭を撫で何事も無かったように戻って食事を続ける見上。

一同唖然と見上を見つめるが本人は黙々と食事をしている。

「疲れてるんだろうな…。」

心配そうにつぶやく若林に石崎から突込みが入る。

「どういうことだ。」

「見上さんストレスが溜まると妙にオレの話してすっごくオレに優しくしてくれるんだよな。人に優しくすると自分の疲れが抜けてくんだと。普通優しくされると抜けるのにあの人逆なんだよ。」

「か、変わったストレス解消だな。」

「じゃあ、オレ思いっきり甘えて見上さんのストレスを発散させてくるから。」

 

「若林、あいつ騙されてるんじゃないよな…。」

石崎の不安は当たっているのかいないのかそれは見上氏のみが知る。

 

 

…END…

お礼コメンツ

 

いのぽんさんに頂きました素敵小説v
若林くんにメロメロ(爆)な人々の中で、石崎がひとり一般人と言うか常識人なのがまた私のツボにはまって…!!
好きです。石崎(笑)
しかし見上さんのポジションが美味しすぎて…!
羨ましくてなりません><
1日で良いから変わってくれないかしら…無理よね…。

素敵なお話、ありがとうございました!