夢見心地

 
 

ぼんやりと意識が浮上してきた。

風が髪を揺らしている。昨日は窓を閉めて寝たはずなんだけど、お袋が開けたんだろうか。さわやかな風だ。

気持ち良いし朝練までまだ時間があるしもう一眠り、そう思ったら…。

トントンとノックの音。何だよ、もう少し寝かせろよ。

 

「守、起きたか?」

 

顔をのぞかせたのは赤いエプロンが眩しい若林さん。

なんで若林さんがここに?エプロンが似合っている!いや、それは関係ない。それに今<守>って言わなかったか。グルグルと色々な事を考えて固まっていた。

「起きてるんだろ?」

優しく笑いながら近づいてきた若林さんはベッドに腰掛けてきた。

「守?」

「は、はい。若林さん!」

「若林さん?何だよ今更…。」

可笑しそうに笑う。

「まだ寝ぼけてるんだろ?さっさと顔を洗って朝飯にしよう。」

「朝飯?作ってくれたんですか?お袋は?」

「お義母さん?今日はいらしてないぞ。」

「来てないって…?それじゃ、ここは?」

「守、大丈夫か?寝すぎ?頭打ったとか熱があるのか?」

不安そうに眉を寄せてそっとオレの額に手を置いた。

 

「熱はないな…。よ〜く聞けよ。守とオレは結婚してる。」

 

け・結婚!?いつの間にそんな嬉しいことになってるんだ!

 

「それで二人でドイツに住んでる。」

「結婚してもうすぐ二年になるんだぞ。」

「いつも通り<源三>って呼んでくれ、守。」

二人っきりで住んでる?結婚してるんだったらそうだよな。しかも二年?恋人としての記憶も結婚した記憶も新婚の記憶もないのに二年…。

話の急展開に頭がパンク寸前でようやく言えたのは一言だけ。

 

「子供は?」

 

ってオレは馬鹿か!?男同士で子供はありえないだろう。この状況も十分にありえないことかもしれないけどいくらなんでも子供って…。

「子供はまだ…。その…まだ二人っきりが良いかなって。オレが守を独り占めしたいからもう少し待って欲しくって…。」

エプロンに負けないくらい赤くなってる若林さん…いや、源三。

嗚呼、可愛いなあ。白無垢かウェディングドレスかどっちかも分からないけどそれをオレの為に若林さん、源三が着てくれたんだろう。それを初夜にオレが脱がしたんだろうし数多くの夜を過ごしたんだろうに全く覚えていない。本当に勿体無いけど覚えていないことを悔やんでもしょうがない。今ここに源三がいるのが全て。新しい貴方との記憶を作りたい。

「さてもう冷めてるけど朝飯、朝飯!」

明るく言いながら潤んだ目を擦る。

「源三!」

立ち上がろうとしていた源三を抱きしめる。いきなりを咎めることもせずににっこりと笑って。

「お早うのキスがまだだったな。」

ちゅvと頬にキスされた。その上

「守は?」

喜んでさせていただきます。

軽く頬にではなく唇に深めのキスをする。めちゃめちゃ気持ち良い!そうなるとオレも男だしそれに朝だしもっと欲しくなる。

赤いエプロンを脱がせると源三からストップが入った。

「メシ、温め直してくれる?」

「はい!」

「手加減してくれる?」

「はい!」

「終わったら冷たいココア、入れてくれる?」

「はい!」

優しく微笑んで言った。

「なら良いや。」

 

 

ばっこん!!

 

 

頭に衝撃が!

 

振り向けば鬼のような形相で睨んでいるシュナイダー。何でこいつがいるんだ。

「朝から何をしている!」

いきなりやって来て苦々しげに言うな!

「シュナイダー?どうしたんだ?」

「オレは若林が好きだ。まだ諦めていない!」

「真顔で人の嫁さん、口説くな!しつこいんだよ、この変態!!」

 

 

 

「どこにお前の嫁さんがいるのかな、井沢。」

 

 

 

「へ?。」

 

ここって学校?

「放課後、私のところに来るように。」

目が笑っていない笑顔で教師が告げた。

 

夢かよ!

 

そりゃ都合の良い夢のような話だと思ったけどそれでも本当に良い夢だったのに…。せめてフルコースとはいわないけど1ラウンドくらい楽しませてくれるくらいしたって良いだろうが!

「ふざけんな、チクショウ!!」

「放課後来るのが嫌か?」

「違います、違います。でかい独り言です。決して先生に言ったわけではないです。」

「そうか。私も国語教師だ。どんな夢を見たのか原稿用紙5枚にまとめて明日までに提出するように。」

人に言えるかー!無理、無理、絶対無理。

「あの…先生。」

「居眠りに目をつぶってもほかの生徒に迷惑になるのはいかん。」

「どんな迷惑をかけたって…。」

「いい夢みていたんだろうな〜、笑い出して。」

「見てて怖かったぜ、にへら〜と口が緩んでからへらへらと笑い出して。」

滝!余計なことを言うな!!

「突然、力いっぱい返事をして。」

「…。」

「目が覚めたら私を君のお嫁さんを口説く変態呼ばわりだ。」

「すいません…。寝ぼけていたんです。」

「私を変態呼ばわりしたことは気にしていないさ。確かに今、付き合っている人もいない、寂しい独身だからな。」

「だから先生…。」

「3年程前にプロ契約した少年を熱く応援したばかりに彼女に<なによ、変態!>とかいって振られたような男だしな。」

「あの…。」

めちゃくちゃ<変態>って言ったのが不味かったんだろうな…。

「ああ、井沢。お前、若林の知り合いなんだっけ?まったく羨ましい奴だな。」

怖〜。静かに怒りを感じる。しかも無表情。

「すいません。今度若林さんにサイン入り写真を貰ってそれを…。」

「トシキさんへって入れてもらえるか?」

「もちろん!」

「今後気をつけるように。」

「…はい…。すいませんでした。」

助かった…。帰ったらかなり若林さんに後ろめたいけど電話することにしようと。

それにしても夢の続きを見る方法、誰か知らないだろうか?

 

 

…END…

お礼コメンツ

 
いのぽんさんから頂きました〜!!
井沢ン良い夢見てますなァ〜(笑)
こっそり人の夢の中に出てきてまで若林くんラブなシュナが愛しすぎなんですけど…!
可愛いな〜もーみんな可愛い〜vv
先生まで虜にしてる若林くんもすご過ぎだし(笑)

いのぽんさん、可愛いお話ありがとうございましたvv