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俺の名前は海馬モクバ(響き悪い)
小学生ながら、泣く子も黙るアミューズメント産業最大手海馬コーポレーションの副社長だぜぃ!
今だってバラバラとヘリで驀進中!
隣に座っているのは俺の兄サマで海馬瀬人!
頭も良くて、喧嘩も強くて、何より格好いいんだぜぃ!
自慢の兄サマなんだvv
「ぬ!」
その兄サマが何か見つけたみたいだ。
兄サマの視線を双眼鏡装備で追うと、遊戯と城之内のヤローが川辺を歩いているのが見えた。
地上数百メートルだって言うのに、裸眼で奴等を認識する兄サマの視力はスゴイぜ!
ハッキリ言って神の域だね★
「操縦士、そこの川辺に降ろせ!!」
凛と響く声がヘリの中に響き渡る。
操縦士は慌てて、急降下!
奴等が居るところで器用に止まった。
さすが海馬のヘリ操縦士だ!
ヘリから颯爽と降り立った俺達に、遊戯と城之内はポカンと口を開けてしまっている。
驚いただろー!!俺も驚いたからな!兄サマの行動は突飛すぎて時々付いていけなくなるぜぃ…。
「海馬!テメー何しにきやがった!!」
とは城之内の叫び声。
城之内は兄サマの姿を確認すると、いつも噛み付いて来るんだよな〜。
それだけ気になるって事!?(ポジティブシンキング)
遊戯はいつもの遊戯で、あっちの遊戯はまだ中に居るみたいだ。
オロオロと城之内と兄サマの間にある剣呑な空気の中で右往左往してる。
ふいに、兄サマが口の端を少し上げて笑った。
「ふ。城之内、お前を我が家の夕食に招待しようと思ってな。この俺がわざわざこうしてヘリで迎えに来てやったんだ。」
ええ!?兄サマそんなこと一言も…!
ビックリして兄サマを見上げると、兄サマは鋭い眼光で俺に沈黙を強要してきた。
分かったよ兄サマ。本当に城之内が好きなんだね!(バレバレ)
「へ?夕食…?しかもヘリで行くンか…?」
城之内はと言えば、突然のコトに目をパチクリしている。
そりゃあそうだよ。
敵対してるのに夕食に招待されるなんて、ハッキリ言って警戒して然るべき出来事だよ!
でも夕食と言う言葉と、ヘリに乗れるという期待が城之内の思考回路を混乱させているのか、城之内はウーンどうしよっかな〜などとのんびり悩んでいる。
兄サマは勝利を確信した瞳でフッと笑っていた。
その時。
「城之内君!!こんなヤツの口車に乗っちゃ駄目だ!!」
兄サマに負けず劣らず、鋭い声色。
これは……。
「遊戯……。」
苦虫を潰したような表情で兄サマは吐き捨てるように呟く。
そう、厄介なことにあっちの遊戯が出てきたみたい。
「遊戯!」
城之内もビックリしている。
遊戯は城之内を庇うような形で兄サマと城之内の間に割って入り、そのつり上がった瞳を何のてらいもなく兄サマに向けていた。
バチバチと両者の間に火花が飛ぶ。
…怖ッ!!
「城之内君、こんな発情期の狼みたいなヤツのヘリになんか乗るんじゃない!何をされるか分かったモンじゃない!」
「黙れ!干からび果てた名も無き王にそこまで言われる筋合いはないわ!!」
それだけ言うと、二人とも無言で相手を睨み付けた。
二人ともこめかみ辺りに、怒りのあまり血管が浮いてるよ…。
空気もさっきの兄サマと城之内の睨み合いの時より、格段におどろおどろしくなってるし…。
ていうか、もういつ闇のゲームが始まってもおかしくないくらいだぜぃ!!
遊戯に守られるような形で居る城之内は、状況が良く飲み込めていないのか、目を白黒させて二人を見守っている。
――――――鈍い。
そうこうしている間にも、兄サマと遊戯の間には稲妻が落ちる背景まで見え始めた。
どうしよう…俺が止めに入ったって無駄だろうし…っていうかとばっちり受けるのは絶対ゴメンだ。
「海馬……どうしても城之内君を連れていくというのなら……。」
「ふん…どうだというのだ。」
「この場でオレは貴様に決闘を申し込む!勝負だ海馬!!!貴様が負けたら罰ゲームが待ってるゼ!」
ドーン★
うわ!来た!決闘馬鹿!
でも兄サマも遊戯に負けず劣らず決闘馬鹿だから、すんなりOKしちゃうんだろうな〜。
「…ふ、よかろう!負け犬を頂くのは貴様を倒してからにするか!!ワハハハハハ!!」
―――……やっぱり。
「い、頂くだと!!オレの城之内君に淫猥な妄想を抱くのはやめて貰おうか!」
頭から湯気が出そうになるくらいに怒り狂う遊戯に、兄サマは「は!」と嗤った。
「貴様の城之内だと?笑わせるな!犬の飼い主はこの海馬瀬人だ!」
「犬…ッ!!構えろ海馬!もう一度マインドクラッシュを喰らいたいようだな!」
二人とも叫びながらきちんとデュエルディスクを装着していく。
互いにデッキをシャッフルして、とうとう「デュエル!」の叫び声が上がってしまった。
こうなったら誰も二人を止められないや…。
「アイツらって仲悪いよなー!」
気が付けば、いつの間にか俺の隣に城之内が来ていた。
ポケットから取り出したんだろう菓子を頬張りながら、兄サマと遊戯のデュエルを見守っている。
食うか?という城之内の申し出を断ると、城之内はつまんなそうに俺に差し出した菓子を自分の口元に持っていった。
そうしてまた、二人のデュエルに目を向ける。
ちょうど兄サマがブルーアイズを召喚したところだった。
いつもの「ワハハハハ!」という兄サマの笑い声がこだまする。
その様子が城之内にはとても楽しそうに見えたようで。
「なんかよー、オレばっかりカヤの外でつっまんねーの!」
ぷう、と頬を膨らませて拗ねる。
そんな城之内に、俺は心の中で叫んだ。
(いい加減お前のせいだって気が付けよ…!!)
ある意味一番の大物は、城之内かも知れないぜぃ…。
・END・
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