【卑怯な男】

 

 

「中尉、少し甘えさせてもらっても良いかな。」

 

尋ねるでもなく、確認するような声色だった。

横に立つ女性が拒否をするわけがないというような傲慢で、背筋を甘いものが走るようなそんな甘えた声だった。

 

嫌です、と言えない自分を歯痒く思いながらも、彼女は静かに頷いてしまう。

 

ありがとう、と男性らしく低い声が聞こえたかと思うと、堅い軍服の下に隠れた柔らかく豊満な膨らみに男の頭が寄り掛かる。

 

それ以上何もするわけでもなく、ただ、ふたりはじっとして動かない。

 

 

まるで母と子のように。

 

 

END


あなたは本当に卑怯で卑劣でそれでいて愛しい。