| 愚者の戯言 | |
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醜い。 醜い醜い。
吐き気がする。
いつもの場所。いつもの時間。いつものメンツ。 「お仕事は良いんですか?」 アルがうずうずと投げかけた質問に、大佐はふと笑った。 「ああ、午前中頑張ったおかげで中尉から昼は外出の許可が出てな。やはり等価交換、と言うやつなのだろう。彼女は錬金術師ではないがね。」 わざとらしく片目を瞑って、微笑む。
俺たちが今いるのは、大通りから少し奥に入った見た目良いとは言えないこじんまりとしたカフェ。 「こら、鋼の。食事は良く噛んで食べなさい。…そんなだから、」 背が伸びないのだよ。 目聡く見つけた大佐に小言と嫌味を同時に貰う。 「兄さん、ボクだって言ってるでしょう。早食いは良くないよって。」 「……分かってら。」 「分かってるだけじゃなくて、実践しなきゃダメなんだよ。」 興味ないことには本当にずぼらなんだから。 そうすれば、 「よろしい。」 と、至極の微笑とともに優しい声色が降ってくる。 「大佐といると兄さんがきちんと食事をしてくれるので、ボクも嬉しいです。」 おそらく微笑んでいるのだろう―――アルは大佐に向かって楽しそうに話す。
知っているんだ。 アルは亡くした面影を大佐に重ねている。
そんなのは虚しいと、惨めだと思った。 それでも、アルは大佐に求めるんだ。母であることを。 そしてそんなアルの姿は多分―――自分の姿を映した形だということも、俺は知っている。 だから余計に腹が立つ。 分かっているのは今、自分が酷く醜い感情を抱いていると言う事だけ。 仲間はずれで寂しいとか。 そんなレベルじゃない。 ふとした弾みで傷つけてしまいそうな、危うくて馬鹿みたいに切実な気持ち。
羞恥で死ねる。
「鋼の?」 「兄さん?」 同時に発せられたのはどちらも愛しくてたまらない音色。
END |
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| 作者コメンツ | |
| 妄想激しすぎだと苦言を頂戴しても仕方ない感じにエルリック兄弟+ロイ。 エドはアルのことを別の次元で大切にしつつ、大佐に恋心を抱いているといい。 二人が仲良くしているのを見てアルは嬉しくて微笑んでいられるけれど、エドは笑えない。ヤキモチを妬くなんて可愛いものじゃないくらいの嫉妬を抱いてしまう。そんな醜い自分が情けなく。 …私もテーブルに突っ伏しとこう…。 |
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