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どうでしょう、この人。 あまりにも、あまりにも鈍すぎやしませんか。
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愉快な人々 |
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好きなんだろうなァ、とは思う。 大切なんだろうなァ、とも思う。 しかし、あれはあまりにもあからさま過ぎだろうとも思うのだ。
ちょっとだけ、少しだけ、落ち着いてみませんか? 我が愛しの皇帝閣下。
「…俺は十分に落ち着いている。」 ぶすっと綺麗な顔を思い切り歪めて、シュナイダーは低く呟く。
フランスで行われた第1回国際ジュニアユース大会。
「しかしそんな顔されるとねぇ。」 大げさにため息をつくマーガスの正面には仏頂面のシュナイダー。 現れたのはシェスター。 彼は優雅な仕草で部屋に入ると、その重苦しい空気に眉をしかめた。 「シュナイダーは相当ご機嫌斜めだね。」 言いながらマーガスの横に腰を下ろす。 (あー早く来ないかな、カルツ。) 不機嫌な皇帝を前に、ブレーメンコンビは揃ってため息をついた。
それから数分後。 頼みの綱のカルツはのんびりと帰ってきた。
「よーお待たせ。なんだい、まだ皇帝のご機嫌は直んねぃのかい?」 長めの楊枝をその口にくわえて、カルツは笑う。 「カルツ、見つかったのか?」 かたりと席を立ってシェスターが扉付近にいるカルツに近付けば、カルツはにやりと笑って頷いた。 「シュナイダー、お前さんに土産だ。」 剣呑な空気を纏っているシュナイダーは、カルツの言葉に軽く顔を上げる。 「ふーん、いらねぇの?せっかく日本チームから拉致って来たのによぉ。」 へーそう。 とにかく。 シュナイダーの気分を浮上させるだけの『秘密兵器』は、酷く疲れた格好をしてその部屋に現れたのだった。
「何だよ〜俺まだシャワーも浴びてねぇのに!」
ひょこ、と扉から顔を出したのは、先ほどまでフィールドの上で鬼のようにドイツチームのシュートを防ぎまくっていた若林。 「今日はいい試合だったな、若林。」 斜め前からマーガスが言えば、若林の表情はぱっと明るくなる。 「そうだな!やっぱりお前ら凄いぜ。防ぐ方も楽じゃなかった。本当、疲れた〜。」 んーと伸びをする若林に、今度は正面のシェスターがくすくすと笑った。 「あれだけ活躍したんだ、そりゃ疲れもするね。」 賞賛と嫌味を込めて。 「ちょっとはお前らのこと知ってたからな。有利っちゃ有利だったんかもな。」 その言葉に、知っていたのはお互いさまだと笑えば、また、それもそうだなと素直に認めて強気に微笑む。 滅多に見せない温和なその表情は、カルツに届く前にシュナイダーの前を通過する。 途端、火が点いたように真っ赤になる皇帝。 「何?シュナイダー顔赤いぜ?」 熱でもあんのかよ、と若林が顔を近付ければ、ますますシュナイダーの顔は赤くなっていく。 ひとりが声を立てて笑い始めれば、今更耐える必要もなくなるというもので。 突然の出来事にポカンとする若林に構わず、3人はそれぞれ出し得る限りの声を出し尽くす勢いで大笑いを始めたのだった。
「あは、あははは!あーもうおっかしー!若林サイコー!」 「ふっくくく…お腹痛い…ははは…!」 「ははははははは!ゲンさん、お前さんはどうしてそう天然なんだ…!ぷくく…。」
「な、なんだよ!俺が何したって言うんだよ!」
どうして笑われているのかサッパリ分からず、今度は若林が真っ赤になる。 叩かれているシュナイダーは、また、不機嫌に拍車がかかるかと思えば。 何故か額を押さえて幸せそうな表情を浮かべている。 ますます若林は訳が分からなくなって、いっそ泣いてしまおうかと思った程だ。 (これは俺か?俺がおかしいだけなのか?) 笑いの波に乗れない若林は、ぽつんと置いてきぼりを食らった子供のような表情で、その空間を孤独に過ごしたという。
釈然としない表情のまま、若林がドイツ陣内を後にしたのはその数分後。
やっぱりさ、あからさまだと思うんだよね、シュナイダーの態度。 試合前も、試合中も、試合後も。 実際若林しか見てないじゃん?
面白いくらいにね。 どうしてあれで、若林は気付かないんだろう? 研究テーマとしてはこれ以上ないくらいに興味深いね。
何の研究する気ぜよ? ま、サッカーはともかく恋愛方面に関してはゲンさんの偏差値は最低レベルだな。 だから。
「「「面白いんだけどね?」」」
綺麗に3人の声がはもった事など、夢心地のシュナイダーが知る由もなかった。
…End… |
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言い訳後書き |
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| 闇1800HITS記念にいのぽんさまに捧げさせていただきます「天然若林くんがドイツ勢と仲良し」なお話。 ええ、ごらんの通り、全くリクに応えられていません…反省! ドイツ勢って…この人たちで良かったのかと今更ハラハラドキドキなんですが…。 もしかして肖とかレヴィンとかだったら、勘違いも甚だしくてスミマセン!!こっそりミューラーを入れ忘れてスミマセン!!(爆) さーらーに、皇帝がいつにも増してヘタレでスミマセン!! 闇だから…いつも以上にヘタレ…て…(汗) どうもシェスとかガスとかカルツにかかると、この2人は良い暇つぶしの道具というかからかいがいのある玩具というか、とにかくそんな感じになってしまうのですが…。 ご想像と全く違うものになっていたら申し訳ないです;; この腹かっさばいてお詫びをば!(ごめんなさいそんな勇気ないです) リクエストありがとうございましたv受け取ってくださいましー(逃!) |
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